コツコツコツ・・・
「よくぞ おいで下さいました。それから、数々のご無礼をお許し下さい。・・・・・・・・・・椿山巧太よ・・・・・それから、ニュイにホワイトご苦労様でした。」
シーラは、静かに,、そして厳かに話し始めた。
「あんたにゃ 聞きたいこと、言いたい事 山ほどあるぜ!!」
明らかに怒りモードの巧太。それはそうだろう 時の守人だの、キーノラントだの未知の世界に放り出されたのである。今までは考える間もなく 闘い続けてきた。しかし今は、渦中の人シーラを目の前にしているのだ。怒りが込み上げてくるのも無理はない。
「こら、シーラ様になんて口の聞きかた!!」
ニュイが注意する。
「よいのです。ニュイ・・・・巧太あなたには、全てを 知ってもらわなければなりません。キーノラントのこと、時の守人の役目、・・・それから、父 雅也の事・・・・」
「・・・・・・・」
巧太は、沸起こる怒りを押さえ黙りこんだ。
* * *
「ちょっと 何よ・・・あれ・・・」
京香は、ヒステリックな声をあげた。
シュラに堕ちた5人は、地球では見た事のない物を、目の当たりにしていた・・・
「ご・ゴーレム・・・・TVゲームに出てくる、ゴーレムだよ。」
裕太が言った。
そう、土で出来た、人形・・・ゴーレムが5人を襲ってきたのだ・・・五人は 走っていた。
力の限り、精一杯逃げていたのだ。
その時、修太の持っているPCが、光を放ったのだ。一瞬だったが、確かに。
「PCで何か、分かるかもしれない。」
「分かった。俺が 奴の気を引くから、急いで調べてくれよ。」
健太は、にこっと笑みを浮かべ4人と別方向へ走り始めた。
「すまない・・・頼む・・・・」
自分の弟に危険な役目を、押し付けるとは・・・唇を噛み締めて、修太は言った。
「京香ちゃんは、裕太と真太を 安全な場所へ」
「わかった。さっ 裕太くん 真太くん 早く!!」
カタカタ・・・修太は、徐にキーボードを打ち始めた。奴の左肩の文字を・・・・
G O L I A T・・・・・H
ディスプレイに、文字が羅列されてきた・・・何の事やら、さっぱりだ。修太はさらに、キーボードを打った。
W E A K P O I N T
「分かった!!額だ!!額に秘密があるんだよ!!」
修太は 叫んだ。それとゴーレムが、健太を掴むのは、ほぼ同時だった。
「うぎゃーーー。助けてくれーーー ク・苦しい・・・・」
健太が悲痛の叫び声をあげる。
「健太!!!」
修太は、PCを置き 走り出した。それから、京香、真太も・・・
「アリアドーネ」
裕太の手から、稲妻に近い、光の矢がゴーレムの右腕を貫いた。
「ウゴゴゴゴゴゴゴ」
ゴーレムは一瞬 苦しんだような、素振りを見せたが、すぐに右腕は再生してきた。
「修太さん あんた ゴーレムをやっつける術を知ってるんだから、私が気を引くから・・・しっかり やんなよ。へましたら、ただじゃあ おかないから。」
「おう!!!京香ちゃんには、指一本触れさせないぜ!!」
修太は 何故か自信に満ち溢れていた。
京香は精一杯、大きな声で叫んだ。
「ちょっとあんた、弱ってる人間じゃなくて、元気な私にかかってきなさいよ。それとも 私が怖いの??」
「ガガガガガ・・・ゴォォォォォ」
ドシン ドシン
京香は、逃げる様子もなく、ゴーレムを睨み付けていた。
ゴーレムが、両手で京香を、掴みあげようとした瞬間・・・ゴーレムの動きが止まった。
修太が 頭にしがみ付いている。
「これで終わりだ・・・」
修太が、ゴーレムに何かすると、ゴーレムは 一瞬にして風化し、何も残らなかった・・・
「何したの??」
京香は、まだ少し震えている
「額に EMETHってあっただろ??あれは、ラテン語で真理って意味なんだ。その Eを消すと死って意味になり、消え去るのさっ」
自信満々な修太に
「PCに 教えてもらったくせに・・・」
と一蹴。
「裕太・・・裕太・・・・」
修太は、裕太の体を 優しくさすった。
「・・・・・ん・・・ん・・」
「よかった、変な呪文唱えて、ばったり倒れるから、死んだのかと思ったぞ。」
「だから、言ったでしょう。僕は 魔法使いなんだね。あははは。」
「・・・・・・マジ??」
みんなは、ぽかんと口を開けた。
「健太は無事なのか??」
修太は 聞いた。
「おう。体中痛えけどな。大丈夫だ。」
「ふぉっふぉっふぉっふぉ。お主達 わしの自慢のゴライスを倒すとは、さすがジェレフレークの一族よのう」
「誰??」
京香は怯えた声を出した。
「心配センでもええ。お主ら、合格じゃ。契約しようかの。」
土の中から にゅっと現れた、白雪姫の7人の小人の一人のような、白ひげのおじいさん
「わしの 名前は、トロイア。巧太が待っとるで。急ぐかの」
「よくぞ。シュラを克服しましたね。」
以前聞いた女の声・・・
「しかし、事態はさらに 悪化しているのです。時間がありません。さあ」
プシュン
五人は、ハイアイランド城門前に来ていた。門を開けると・・・・・目の前には、巧太が・・・・
「巧太!!」
五人は、叫んだ。